超音波振動を用いたアクティブ・エアベアリングの研究

研究の目的

 近年の回転軸の高性能化の要求により,空気軸受の高精度化と高剛性化が求められています.静圧空気軸受(エアベアリング)では,軸受気体潤滑膜によるアベレージング効果により,高い回転精度が得られますが,反面空気膜の圧縮性と低粘性による剛性や振動減衰性の不足という問題が生じています.
 本研究では,軸受面を高周波振動させた際に発生する超音波浮揚現象を応用した能動型の空気軸受(アクティブ・エアベアリング)を提案しています.すなわち,超音波アクチュエータを用いて軸を支持する空気膜を発生させ,同時に回転中の軸の心振れ・姿勢の制御を能動的に行う新しい軸受の基礎的研究を行っています.



原  理

 原理図を図に示します.超音波振動子に浮上用高周波信号(共振周波数)を印加し,物体の浮上を行います.さらに,この高周波信号を基本波形として,位置・姿勢制御用信号(任意波形)を用いて振幅変調します.空気膜厚は高周波信号の振幅に応じて変化するので,浮上物体の位置の制御が可能となります.この振動パッドを回転軸が5自由度に運動できるように配置することにより,軸の回転方向を除いた5自由度方向(回転3自由度・並進2自由度)方向の心振れの補正を行うことが可能となります.



試作機の歴史



試作した回転型の空気軸受です(2003.3).円筒型振動方向変換体使用.
軸方向の位置決めおよび回転振れの補正が行えます.軸方向位置決め分解能<40nm.
軸方向回転同期振れ(RRO):0.232μmp-p--->0.118μmp-p.軸方向回転非同期振れ(NRRO):0.03〜0.06μm3σ.
半径方向RRO:1.03μmp-p--->0.957μmp-p.半径方向NRRO:0.06〜0.08μm3σ.
現在改良に取り組んでいます.



試作した直動型のエアガイドです(2005.3).4面拘束型の空気案内です.

参考文献

(あたらしいものから並べてあります)

印刷論文

Takaaki OIWA and Ryosuke SUZUKI:
Linear Rectangular Air Bearing Based on Squeeze Film Generated by Ultrasonic Oscillation
Review of Scientific Instruments, 76, 7 (2005) 075101pp.1-7.
Takaaki OIWA and Masaya Kato:
Squeeze air bearing based on ultrasonic oscillation: motion error compensation using amplitude modulation,
Review of Scientific Instruments, 75, 11(2004) pp. 4615-4620

口答発表

○大岩孝彰,鈴木良輔
超音波振動を用いたアクティブエアベアリング(第7報)(直動エアガイドの運動誤差補正)
2006年度日本IFToMM会議シンポジウム,2006,6/30.
○大岩 孝彰,石岡伸康
超音波振動を用いたアクティブエアベアリング(第6報)(直動エアガイドの試作)
日本機械学会第5回生産加工・工作機械部門講演会,(2004)11/20-21,pp.67-68.
大岩 孝彰,加藤 雅也
超音波振動を用いたアクティブエアベアリング(第5報)
―振動方向変換体を用いた空気軸受の試作―
第15回「電磁力関連のダイナミクス」シンポジウム, (2003) 5/30,529-534.
大岩 孝彰,市村 誠,野原 賢治
超音波振動を用いたアクティブエアベアリング―
振幅変調を用いた位置決めと回転型軸受の試作―
2002年度精密工学会春季大会,(2002)105
大岩 孝彰,田中 宏幸,市村 誠
超音波振動を用いたアクティブエアベアリング
―円すい面形状を持つ空気軸受の試作―
日本機械学会2001年度年次大会講演論文集,
Vol. 3,(2001) 8/30,251-252.
大岩 孝彰,野原 賢治
超音波振動を用いたアクティブエアベアリング―振幅変調を用いた精密位置決め―
日本機械学会第13回「電磁力関連のダイナミクス」シンポジウム, (2001) 6/22,731-732.
大岩 孝彰,松田 滋,松田 孝
スクイズ膜効果を用いたアクティブエアベアリングの研究
日本機械学会第75期通常総会講演会講演論文集(IV), (1998) 250-251.

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