圧粉磁心による鉄損低減Reduction of Iron Loss with Soft Magnetic Composite
ベアリングレスディスクモータでは,固定子コアにバルク鉄を使用しています.一般的には積層鋼板を用いますが,C形で複雑な形状のため,バルクから切り出しました.このため,電動機巻線の交流磁界により鉄心に渦電流が発生し(渦電流損失),効率低下を引き起こします.そこで本研究では,近年注目されている新しい鉄心材料「圧粉磁心(powder iron core or soft magnetic composite)」により,渦電流損低減を検討します.圧粉磁心とは,絶縁コーティングされた微小鉄粉を樹脂バインダで成形したもので,高周波域での渦損低減効果が期待でき,三次元の複雑な形状にも加工可能です.
鉄損解析Iron Loss Calculation
まず,圧粉磁心の鉄損データを測定するため,トロイダルコアを作製します.圧粉磁心は非常にもろいため,機械加工には注意が必要です.機械加工は静大工学部の工作センターに依頼しています.成形体(ML28D,神戸製鋼社)から切削加工と放電加工により図の圧粉磁心リングを製作し,コイルを巻いて鉄損を測定します.測定結果を,JMAG(JSOL社)にインポートし,電磁界解析により鉄損を計算します.
SMC toroidal core
Iron loss calculation
試作Fabrication of test machine
兼原君が工作センターとディスカッションして設計し,圧粉磁心を用いたベアリングレスモータを試作しました.C形のコアはリング同様,切削と放電により製作しました.回転子はセンサターゲットを一体化して製作し,永久磁石・コア部はエポキシ樹脂でモールドしました.固定子には,電動機巻線と磁気支持巻線をを施し,回転子同様にエポキシ樹脂でモールドしました.固定子には渦電流式変位センサを組み込み,回転子の半径方向変位を検出します.
C-shaped SMC core for bearingless motor
Rotor
Stator