光ファイバを用いた

3Dタッチトリガプローブの研究


研究の目的

 近年,CMM 用タッチプローブの小型化・高性能化の研究が各所で行われています.この検出器の性能を高めるためには,感度やプリトラベル量および固有振動数などの改善を行う必要があります.従来はボールとシャンクからなるスタイラスの変位や加速度をセンサ等で検知していました.しかし,シャンクが長くなるにつれて質量が増加し固有振動数が低下するため,外乱振動などの影響を受けやすくなります.
 本研究ではシャンクに内蔵した光ファイバ式変位計により,ボール自体の変位を測定する方式のプローブについて研究を行っています.

原  理

 原理を下の図に示します.3組の光ファイバ変位計束の先端と球体(ボール)を弾性体で接続した構造となっています.





 投光ファイバを通りボール表面で反射した光は,受光ファイバを戻ってディテクタで検出されます.ボールが被測定物に接触するとギャップの大きさが変化し,ディテクタ出力電圧が線形的に変化します.このようにボールの変位を直接測定するため,アッベのオフセットを小さくできます.このプローブは以下の特長を持っていると考えられます.

(1) 光ファイバ変位計の分解能はナノメートル以下が可能であり,プリトラベルの減少や検出分解能の向上が見込める.
(2) 変位計を 3 本束ねることにより,ボールの微小変位だけでなく接触の方向についても検知できる.また,校正を行うことにより,方向による感度の違いを均一化できる.
(3) バネ下質量はボールの質量のみであるため,固有振動数を高められ,測定速度の向上や高分解能化が可能となる.
(4) シャンクの長さを増大しても,特性が変化しにくい.
(5) 摩擦による影響がない.また,小型化が容易である.






 試作した3Dタッチプローブです.
 一般の光ファイバ変位計の外径はφ0.8で,これを3本束ねてφ3のパイプの中に納めてあります.
 先端にはφ5の平面ミラーとφ1/4”のセラミック球を取り付けました.




 試作した3Dタッチプローブです(H14年度).
 3台の光ファイバ式変位計を使用.先端にはφ5の平面ミラーとφ1/4”のセラミック球を取り付けました.



 試作した3Dタッチプローブです(H15年度).
 先端径0.8mmの光ファイバプローブを使用.先端にはφ1.2のステンレス球を接着してあります.

参考文献

(あたらしいものから並べてあります)

ポスター

印刷論文

  1. Takaaki Oiwa and Toshio Tanaka: Miniaturized three-dimensional touch trigger probe using optical fiber bundle, Measurement Science and Technology, 16 (2005) 1574-1581.
  2. Takaaki OIWA and Hiroshi Nishitani: Three-dimensional touch probe using three fiber optic displacement sensors, Measurement Science and Technology, 15 (2004) 84-90.

口頭発表

  1. 北野公崇,大岩孝彰,寺林賢司,朝間淳一:光ファイバを用いた3Dタッチプローブに関する研究(第6報)―光ファイバ変位計による球測定シミュレーションと実験―,精密工学会春季大会学術講演会,東洋大学,2014年3月発表予定.
  2. Takuro Ishino, Takaaki Oiwa, Junichi Asami and Kenji Terabayashi: Sensitivity improvement in three-dimensional touch trigger probe system based on fiber optic displacement sensors, The 6th International Conference on Positioning Technology ICPT2014, Nov. 18-21, 2014, Kitakyushu International Conference Center, Kitakyushu-shi, Fukuoka, Japan.
  3. 石野拓朗,大岩 孝彰,朝間淳一,寺林賢司:光ファイバを用いた3Dタッチプローブに関する研究(第5報),日本機械学会2013年度年次大会講演論文集,S111034, 2013.9.9, 2013年9月8日〜11日, 岡山大学津島キャンパス
  4. Kimitaka Kinano, Takaaki Oiwa, and Junichi Asama: Three-dimensional touch trigger Probe Using Optical Fiber Bundle, The 4th International Conference on Manufacturing, Machine Design and Tribology, ICMDT2011, P-13, 187-188 2011.04
  5. ○大岩孝彰,田中俊雄:光ファイバを用いた3Dタッチプローブに関する研究―小型プローブの試作―, 日本IFToMM会議第11回シンポジウム ,東工大,2005,6/7.
  6. ○大岩孝彰,山本 恭平:光ファイバを用いた3Dタッチプローブに関する研究(第3報), 日本機械学会2003年度年次大会講演論文集 (徳島),Vol.4,pp.161-162 (2003) 8/5発表.
  7. 大岩 孝彰,西谷裕志: 光ファイバを用いた3Dタッチプローブに関する研究(第2報), 日本機械学会2002年度年次大会講演論文集,(2002),pp.,
  8. 大岩 孝彰,長谷川 誠,竹内 義博: 光ファイバを用いた3Dタッチプローブに関する研究, 2001年度精密工学会秋季大会学術講演会講演論文集,(2001),pp.456

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