鋼球(ボール)について
- 材 質
鋼球は入手し易い,軸受け用鋼球(SUJ2など)(JIS B1501)を使用します.
超硬球(WC)などを使用しても結構ですが,ボールは使い捨てとなるので,不経済です.
軸受け用鋼球でも硬さはHRCで63〜67程度ありますし,鋼球に傷が付いても,工作物の回転精度・研削面真円度の影響はほとんどありません(参考文献2).
- 等 級(精度)
鋼球の真球度は工作物研削面の真円度に大きく影響します.
定量的には研削面真円度は鋼球の真球度の約半分となると考えて良いでしょう.
ですから,真円度0.2μm程度を得たい場合,等級10〜16程度(真球度最大0.25〜0.40μm)を使用すれば良いでしょう.
- 球 径
従来の円錐センタでは,比較的小径のセンタ穴を使用する傾向がありました.これは小径のセンタ穴のほうが,センタと比較的すみやかになじみやすいという,経験から来ているものです.
ボールセンタではボールは高精度にラップ加工されているため,なじませる必要はまったくありません.このため,小径の鋼球を使用する必要はなく,工作物の大きさに見合ったセンタ穴径を使用することが出来ます.
したがって,鋼球径の選択は,結構アバウトで結構です.
支持剛性は径の大きなほうがやや向上しますが,径の小さなものでも十分な接触剛性を持っています(センタシャンクの曲げ剛性やテーパ支持剛性のほうがよっぽど低いという測定結果もあります).
ただ,小径の鋼球は工作物への接着作業が困難となりますので,目安としては,小径工作物で1/8”(3.175mm),通常(φ20〜60)の大きさの工作物では3/16”(4.7625mm),それ以上では1/4”(6.35mm)〜5/16”(7.9375mm)以上を使用すれば良いでしょう.
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