機械力学II (質問・要望に対する回答)

第5回: 11月01日分



提出してもらったミニテストに書かれていた質問・要望に対する回答です。


 この初期値問題を解くには振幅比の具体的な値がわかっている必要があります。だから、固有振動数も既知であると考えるのが当然です(振幅比を求めるのに固有振動数が必要ですからね)


 式を見れば分かりますよね。ωが増えていくとカッコの中の項が順番に一個ずつプラスからマイナスになるので。


 それは、平衡状態(重力と釣り合って静止している状態)を原点にとっているからですよ。前期の機力1の講義第4回のp.4と例題と同じなのです。


 自作です。今は無きNECのPC-98で作りました(ハードにバリバリ依存しているので、今のパソコンではそのままでは動きません)。皆さんに配布して自由に使ってもらえれば良いのですが、ちょっといろいろ問題があって、残念ながらちょっと無理。


 小テストの方は授業の残り時間で解けるような問題を選んでいます。で、レポートのほうは時間制限が無いので、時間のかかる問題も出しているのですよ。


 次回の講義で解説しますので、ちゃんと復習してください。


 そうだったかな。今回はちょっと変則的な当て方したので、どの列に当てたのか、自分でもわからなくなってしまったのですよ。

 フリーレン、面白いですよね。ちょっとダメ人間なところなど、江戸前エルフを思い出しました。


 車にさほどこだわりがある方ではないので、普通のコンパクトカーに乗ってます。


 そうですねぇ。孫が1歳の誕生日を迎えたことかな。遠く離れていてもスマフォのテレビ電話で様子が見られる、良い時代になりましたね。


 ?!?!・・・・、済まん、何のアレなのか、ネタがわからん。


 私は、そのちょっと後の、うしおを育ててきた祖母の早苗(17歳(笑)が秋生に慰められるシーンですかね。


 さて今回の小話です。文系の悪口ばかり言ってきたので、こんどはバランスを取って理系の悪口を(^^)。

 理論物理学の方のジョークで球形の牛というものがあるそうです。

 牛乳の生産量が低かった酪農家の相談を受けた科学者チーム、そのリーダーになった理論物理学者が「まず球形の牛を真空状態においてください」と酪農家に・・・、オイオイ学者先生、気は確かですか?。

 これは「現実に起こる複雑な現象を高度に単純化した科学的なモデルでとらえることを喩えた表現」なのだそうです。実際の牛のような複雑な形状だと理論解析しづらいので簡単な球形と仮定する、周りの大気の影響を考えると話が複雑になるので真空だと仮定する、というわけですね。

 実は、同じようなことを機械力学の講義の中でもやってたりします。

 講義の中でよく扱うバネ−質量系、ここではバネは質量がない、質量は変形しない、と仮定しています。でも現実のバネには必ず質量があるし、全く変形しない物体もないですよね。しかし、最初からバネの質量や質点の変形を考慮していたら理論が複雑になってしまいます。
 さらには減衰、後期の講義ではすべて非減衰系でやっていますよね。現実には減衰の無い系などないのに。これは、多自由度系で減衰を考慮すると非常に煩雑になってしまって、わかりにくいからです。前期の講義では減衰系も取り扱っていましたが、主に速度に比例する粘性減衰だけです。これは、実際の減衰がそのような特性を持っていると言うのではなく、そのように仮定しないと理論的に綺麗に解けないと言う事情によるのです。実際の減衰はかなり複雑で、昔から多くの研究者がいろんなモデルを提案しています。防振ゴムの減衰モデルなんかは分数次微分なんて奇っ怪なものも提案されています。

 このような単純化されたモデルは現実のものとはかけ離れているのでナンセンスか、というとそんなことはありません。単純化されたことによりいろいろ解析することができ、そこから有用な結果が得られることが少なくないからです。

 ちなみに、2021年にノーベル賞を受賞した眞鍋淑郎氏の初期の気候モデルは「1次元大気モデル」で、これも一種の球形の牛と言えるでしょう。当時の非力なコンピュータでも計算できるように、大気の立体的な広がりをバッサリ削り落として「大気を地上から上空までの1本の柱」としてしまったのです。そのような単純化されたモデルでも、そこからわかることがいろいろあったのですね。もちろん現在ではスパコンを使って3次元でシミュレーションされていますが。

 結局、あんまり悪口になってなかったですねぇ(^^;)。