機械力学I (質問・要望に対する回答)

第15回: 7月24日分



提出してもらったミニテストに書かれていた質問・要望に対する回答です。


 と言うことは、君はあれから得るものが何もなかったということですか。はぁ〜〜〜〜〜〜。

 私は何も君らに嫌みや小言を言いたくてあれをやっているわけではないのです。ああいったミスをやらかして単位を落とす学生があまりにも多いので、それを少しでも少なくしたい、と思っているだけなのです。


 一応付けてますよ。でも、最初から部分点を期待しないでください。かなりザックリ付けていますから。


 席指定はしませんので、好きなところに座ってください。とは言え、教室の試験定員と受験者数がかなりキチキチなので、注意してください。


 うん、頑張ってね。来年度の私・・・・じゃなかった私の後任の先生の仕事を増やさないためにも。


 さて、今回の小話です。今回も勉強の話とは関係なくもない?話題です。

 人工知能の世界でチューリング・テストというものがあります。これはチューリングによって提案された、ある機械(コンピュータ)が知能を持っているかを判定するためのテストです。例えば、人(判定者)と機械がネット越しにチャットをして、判定者がチャットの相手が人間か機械か区別がつかなかったら、その機械は知能を持っている、と。

 哲学者のサールはこれに反論して中国語の部屋と呼ばれる思考実験を提案しました。漢字を知らないアルファベットしか理解できない人(例えば英国人)に分厚いルールブックを渡して、中国人と中国語でチャットさせる。ルールブックには、こういう記号(漢字なので英国人には意味不明)の列が来たら、この記号(漢字なのでやはり英国人には意味不明)を返せ、と細かく書いてある。ルールブックの出来が良ければ、チャット相手の中国人は自分の相手も中国語を理解していると思うかも知れない。しかし、当の英国人は中国語がわからず、自分の作業の意味も理解していないまま、ルールブックの通りに作業をしているだけ。これでも知能を持っていると言えるのか?、と。

 サールの中国語の部屋に関しては、中の英国人と中国語のルールブックをまとめて一つのものとして判定すべき、という再反論とかもあったりします。ただまぁ、最近のChatGPTなどを見ると。チューリングテストは知能の判定には不十分かなぁ、と思います。あの応答を見ていると、人間とChatGPTの区別を付けるのは非常に難しい、しかしあれが知能を持っていると断じるには躊躇せざるを得ないので。

 何でこんな話をしたのかと言うと、以前に機械工学演習II(機械力学)を担当していた時に気になっていたので(今は臼杵先生が担当していますが)。

 機械工学演習II(機械力学)ではエクセルでいろいろなグラフを書かせていますよね。テキストには、皆さんがちゃんとエクセルのグラフが出来るよう細かく解説を書いています。また、間違えやすいところも例を挙げて指摘しています。皆さんは解説に従って作業をしていればちゃんと課題が出来上がる(まぁ、それでも間違える人はいますが)。

で、課題が出来たのだがら、皆さんは課題の内容を理解できたのでしょうか?。エクセルの使い方やグラフを書くときの作法を習得できているのでしょうか?。不備な課題は指摘した上で直させているのですが、不備なところを理解した上で直しているのでしょうか?。解説に書かれているとおりにやったら課題が出来ただけではないのだろうか、再提出も私に言われたから直しただけではないのだろうか、と言う疑念が頭から離れないのです。つまり皆さんは、外からは一見中国語を話しているように見えるけれども実は全然理解出来ていない英国人と同じではないか、と(で、私はその英国人にルールブックを渡しているだけ)。

 さて皆さんはどちらなんでしょう。ちゃんと理解した上で課題を提出しているのか、それとも、意味もわからず言われた通りに作業をしているだけなのか?。私としては、前者であって欲しいと願うばかりです。