機械力学I (質問・要望に対する回答)

第14回: 7月17日分

●後半の理解が難しかった。
●ジャイロモーメントが絡むと、ちょっと難しいと思った。
 確かに、傾き振動などはイメージしづらいかも知れませんね。

●回転機械がたわみ振動なのか、傾き振動なのか問題から判定する方法的なのはあるのかわからない。今回の小テストの問題のパターンで傾き振動になることはありえるのかわからない。
 今回のテスト問題の場合、円板の慣性モーメントが小さく質点と見なすことができれば、たわみ振動です。傾き振動を考慮しなければいけないのは、円板の直径が大きく慣性モーメントが無視できない場合ですね。
 実際の機械での振動の場合、傾き振動の特徴は回転数によって固有振動数が変化することなので、回転数によって固有振動数が変化しているかを調べればよろしい。

●(A)のばね定数の計算のように教科書の付録にある内容はテストでも聞かれるのでしょうか。それとも問題中に提示されるのでしょうか。
●教科書巻末にある、ばね定数などは期末テストの問題用紙に書かれていますか?それとも覚えておく必要がありますか?
 FAQですね。
 材力の講義ではないので、ばね定数の式とかはりのたわみの式を覚えることは要求しません。必要な場合は問題に添付します。しかし、機械力学の講義なので、基本的な要素の慣性モーメントなどはチェックしておいてください。

●講義動画をyoutubeで配信していただけるの助かります.
 MS-Stearmの使い勝手が大幅に変更になったので、ちゃんと君らから視聴できるのか心配だったのです。ちゃんと視聴できていれば何より。

●仕事以外で,夏休みのご予定は何かありますか?
 貯まりまくったHDDレコーダーの中身の消化ぐらいですかね。
 因みに、8月前半は期末試験の採点・集計、オープンキャンパス、8月後半は大学院入試、9月に入ったら後期の講義の準備(私の講義スタイルだと事前の準備がたくさんあるのですよ))などなど、あんまり暇はないですね。

●サマータイムレンダを見始めました。
 これもBS11での放送は終わってますね。ネット配信とかで見ているのかな。
 私も一通り見ましたが、ヒロインが金髪・スク水・和歌山弁って・・・・・・・、有りか。


 さて、今回の小話です。

 私がまだ助教授でボスの教授といっしょに研究室をやっていた頃、その教授の息子さんが大学に入学した時の話です。世間話が好きな女性の例に漏れず、嫁は教授の息子さんがどこの大学に入学したのか知りたがりました。私は、教授との会話の中で確かに大学名を聞いたのですが、さぼど関心もなかったので、右耳→左耳で、大学名が頭の中に残っていませんでした。おかげで嫁にはブーブー言われました。
 この話はこれで終わりではありません。その後何度か教授との会話の中で息子さんの話を聞く機会がありました。その時は、そう言えば嫁が知りたがっていたなぁ、とは思うのですが、家に帰ったときには何故かすっかり忘れています。こんなことが5・6回はあったと思います(その度に嫁に文句言われました)。

 人間の脳では、神経細胞同士がニューロンで結合して回路を形成し、繰り返し学習ことでその回路が強化・定着していきます。おそらく、何度か大学名を忘れることで、私の頭の中に「大学名を聞く→忘れる」という回路が出来上がってしまったのでしょう。
 皆さんも勉強の中で、いくら教科書やテキストを読んでも理解できない、と言うことはありませんか。もしかすると、皆さんの頭の中に「テキストを読む→理解できない」という回路が出来上がっているのかも知れませんよ。

 その後、私はあることが切っ掛けで教授の息子さんの大学名を覚えることが出来ました。ある日、息子さんから教授のところにメールが来て、それを見せて頂いたのです。メールは大学のアカウントからだったので、メールアドレスのドメインから大学名を知ることが出来ました。今度は忘れずに嫁に教えることが出来ました。つまり、耳から聞いただけでは「大学名を聞く→忘れる」という回路を強化するだけだったのが、アドレスを目で見るという新しい行動によって今までの回路を壊すことができたのですね。

 いくら教科書やテキストを読んでも理解できないとおっしゃる皆さん、勉強のヒントです。今までと同じ行動を繰り返しても出来上がった「テキストを読む→理解できない」という回路を強化するだけです。別のことをやりましょう。例えば、テキストを目で見ているだけではなく、手を使って書く(実際に自分で解いてみる)とか。あるいは、この講義のテキストを読んでも理解できないのなら、別の機械力学の教科書を読んでみるとか。